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レイヤー化する社会と東方ビジネス

2014 6/19
レイヤー化する社会と東方ビジネス

今更感が否めないですが佐々木俊尚さんのレイヤー化する社会を読みました。

Screenshot of www.amazon.co.jp

Amazon.co.jp: レイヤー化する世界―テクノロジーとの共犯関係が始まる (NHK出版新書 410): 佐々木 俊尚: 本

読書感想文ではないですが忘れないうちに振り返っておこうと思います。

目次

レイヤー化する社会とは?

簡単に説明すると、これまでは先進国と開発途上国といったウチとソトを形成していたのがネット社会により例えばネットという「 場 」の上で個々がそれぞれの層(レイヤー)を形成する形になるって話。

例えば音楽の世界では歌手や楽器演奏者、プロデューサー等がエイベックスといった音楽会社という「 ウチ 」に入らないと世間に音楽を売ることが出来ませんでした。

しかしネットが普及し現在ではyoutubeやニコニコ動画という「 場 」を利用し、個人が宣伝、販売することが可能になり、やがてそれが主流となるイメージです。

レイヤーを訳すと「 層 」という意味でインターネットという広い「 層 」にyoutubeという「 層 」があります。

さらにその上に個人が様々な「 層 」を付け加えることによって形成される社会はこれまでの「 ウチ 」と「 ソト 」の世界とは全く違います。

というような内容です。

これ読んでて思い出したのが東方ビジネスです。

東方ビジネスとは?

キャラすけち

ニコニコ動画ではもはや殿堂入りを果たしている東方シリーズ。

東方シリーズとはZUNが製作した同人ゲーム(弾幕シューティングゲーム)の同人ゲームです。詳しくはwiki参照→東方Project – Wikipedia

東方シリーズは火付け役となった作品、東方紅魔郷が発売されたのが2002年頃、翌年2003年頃から徐々に同人創作も増えそこから約十年後の現在でももはや定番化しアニメイト等の一角に必ず置いてあります。

東方は何故人気なのか?

東方がもたらしたモノはただ単に面白いシューティングゲームやかわいいキャラではなく、真の人気の秘訣は「二次創作自由」という所にあります。

二次創作が自由な東方は多くの同人サークルが二次創作に力を入れ、BGMのアレンジやキャラソン(キャラクターのテーマ曲)の作成、イラスト画像やアニメーション、さらに「歌ってみた」等がニコニコ動画で無数にアップされるようになります。

それらは商用利用も可能だったためアレンジCDや同人誌等も販売され時には数万枚を超える大ヒットとなる商品も生まれました。

参考:売上に関するデータ – 東方儚月抄スレまとめ Wiki*

東方ビジネスの真骨頂

様々な二次創作作品が売り上げを伸ばすと同時に本家の上海アリス幻楽団(東方シリーズの生みの親ZUNのサークル)の作品も売り上げは伸びました。

本家のシューティングゲームがどれだけ売れたかは計測不可能なようですが別にオタでもない私の手元にあるくらいなので体感的に少なくともシリーズ累計50万枚以上は軽く売れてるんじゃないかと思います。

「歌ってみた」が好きなニコニコライトユーザーは本家を知らない状態から二次創作された東方シリーズの音楽を聴きます。

その中に本家を追うコアなファンの存在が本家の収益化に繋がります。

当時は何気なくニコニコ動画を利用していると元ネタは「東方だった!」というケースがよくありました。

高校生くらいの若い女の子が「東方」を知らないのにアレンジ曲を歌っていることも珍しくなかったり・・・

レイヤー化する社会と東方ビジネス

冒頭で説明した通りレイヤー化する社会とは広い「 層 」の上に個々が様々な「 層 」を付け加えることによって形成されます。

東方ビジネスは東方という広い層が誕生しそれを利用した多くの同人サークル等がニコニコ動画という「 層 」で拡散することによって成り立っています。

これが以前のように「東方」という作品を著作権で守り、「 ウチ 」から「 ソト 」へ販売するやり方ではここまでヒットすることはなかったでしょう。

ネットがなかった時代、テレビが主流だった時代ではテレビ(ウチ)が発する情報を視聴者(ソト)が盲目的に信じそれがすべてであったため「 ウチ 」から「 ソト 」へ商品を販売することは容易でした。

しかしネットの情報は「 ウチ 」、「 ソト 」ではなく「レイヤー」、「 層 」によって成り立っています。

ネットはテレビと違い、ユーザーが自発的に欲しい情報を得ることが多いため、入ってくる情報はその人に合った「レイヤー」ということになります。

つまりこれまでのテレビのように「 ウチ 」から「 ソト 」へ情報を発信しても「レイヤー」が違う人には届きにくいと言うことです。

一昔前では殆どの学生がboowyを聴き、小室哲哉を聴き、スピードを聴き、モー娘。を聴いていました。

近年は大ブレイクしたAKB48でさえもCDを買っている、ダウンロードしている学生はクラスに数えるほどしかいないのが現状です。

テレビを見なくなった現代の若者はいくらテレビでガチ押ししても耳に入りにくく、そもそもネットで見つけた自分の好きな情報以外のことが入りにくくなっています。

東方ビジネスが成功したのはニコニコ動画という「 層 」の中にいる、音楽が好きな層、STG(シューティングゲーム)が好きな層、萌えキャラが好きな層、歌うのが好きな層等々・・・

様々な「 層  」にフィットし、一つの権利者だけでなく多くの同人サークルが提供したからだと思われます。

レウヤー0

近年音楽業界ではCDが売れず、アニメ業界ではマネタイズできず低迷の一途を辿っています。

それはほぼ8割ネット社会になったにも関わらず以前のような「 ウチ 」から「 ソト 」へ発信するやり方を行っているからです。

そもそもレイヤー化されたネット社会で一つの商品が大ブレイクすることって稀です。メディアによって人々が洗脳されなければむしろチョットしか売れないもんです。

今後さらにネットは進化しこれまでの売り方、働き方では上手く回らないことが出ています。それぞれ時代に合った働き方をする必要がありそうですね。

と思わされた本でした。歴史が苦手すぎる私にとって序盤~中盤はかなり苦痛でしたがまあ読む価値はあるんじゃないかと思います。

というわけで(自分なりに)上手く纏まったところで今日はこの辺で。

この記事を書いた人

ブログ及びアフィリエイトアフィリエイト収入で生活してます。高知から千葉に移住しました。

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