「良い物を作っても売れない」
そんなことを言われるのが当たり前になりつつある時代にモノを売るってスゲー大変です。
私も(仮にも)営業職という立場なのでその「モノが売れない」ってのは日々肌で感じているわけです。
といっても昭和の終わりごろに生まれた私は学生時代から大人になるまでずーっと平成不況とか失われた20年とか言われる時代で生きてきたので、逆にモノが売れる時代を知らないわけですよ。
だから「あの頃はよかったなあ」とか「新しいものを作れば売れていた」っていう時代を知らない。
そういう時代を生きてきた世代の人達は売れない営業マンに対して「営業力が足らない」とか「努力が足りない」とか言うばかりでこの『モノが売れない時代』にモノを売る具体的なアドバイスは出来ない。
「今月数字足らんぞ」
そんなアドバイスねえよ?
って思うけどまあ具体的な対策提案できる人なんかそうそういないよね。
という感じで今日はビジネスチックな話。
そもそも何でモノが売れなくなったのか?
今日はそんな話をしたいと思った。
何故売れないのか
何故売れないのか?
景気が悪いからとかモノが溢れていて何でも手に入るからとかいろいろ言われているけど、私は大きくわけて2つの理由からモノが売れなくなったと考えている。
一つ目は消費者が賢くなったこと、もう一つは将来の不安。
安くて良い品だけじゃ売れない
新しいモノを作ればどんどん売れていた時代、当時消費者は欲しいと思ったモノを買っていたんじゃないかと思う。経験してないのであくまで想像でしかないけど。
その後バブルが崩壊して平成不況に入り、90年代初頭から「安くて良質な商品」でないと売れなくなった。その頃頭角を現してきたダイエーやユニクロ等が代表的。
だけど近年、「安くて良い商品」は当たり前となり、同品質の低価格競争では生き残れない時代になりつつある。
そんな時代、現在の消費者は「何を買うか」よりも「何故買うか」という商品を買う理由を求めるようになってきたような気がするんだよね。
昭和の終わり頃までは「欲しい物を買う」だった消費者が、平成に入り「安くて良い品、お得な品を買う」ようになった。その後、どの企業も安くて良い品を作るようになり現在の消費者は「本当に必要か?買うことによって得られることは何か?」というような買う理由を求めるようになった。
というのが私の見解。
安くて良い品が2点並んだ時、一方に『利益の3%が被災地に寄付されます』という文言があれば同じ条件なら圧倒的にそちらの商品が売れるだろう。
安くて良い商品という条件はすでに満たされているため、他社貢献、社会貢献という付加価値を得られると思った商品に購買意欲が走ったわけである。
実は先日、これとはまた違う事例だけど価格や機能面以外の社会性が重要視されていると感じた事例がある。それが下のエントリーなんだけど。
決めた! iPhoneはもう買わない。だからSONYはXperiaZ3-X出しなさい
まあざっくり言うと「日本の中小企業をボロ雑巾のように使い捨ててる企業の商品なんか買いたくない」という内容。詳しくはまあ読めばわかる。
で、そのエントリーを見て「iphone買うの辞めよう」って思った人が実際に結構いるんだよね。
決めた! iPhoneはもう買わない。だからSONYはXperiaZ3-X出しなさい #BLOGOS http://t.co/FWt0VtjfBX iphoneは使っていませんが、これが本当ならば絶対iPhoneは買いません
— 下町リスクコンサルタント (@ossandream) 2014, 11月 30
俺も決めた!次は新型のAQUOSフォンかな。リテラシー以前にiPhoneへの魅力は潰えた。 >決めた! iPhoneはもう買わない。だからSONYはXperiaZ3-X出しなさい(永江一石) – BLOGOS(ブロゴス) http://t.co/xkHvoB2WJi — ひらお (@tos_v) 2014, 11月 25
この記事は本当か?現在XperiaからiPhoneの機種変を検討してたが…Xperiaをもう少し持ちたくなった→ 決めた! iPhoneはもう買わない。だからSONYはXperiaZ3-X出しなさい(永江一石) – BLOGOS http://t.co/vaeL9JhQo4
— ミサト (@misato3310_) 2014, 12月 5
たとえブラックな経営方針でもユーザー側である消費者にとっては何の関係もないはず。だけど自分が購入することによって誰かが苦しむことになる商品は買わないでおこうと思うのが今の消費者なんだよね。
すき家の長時間労働が問題になって売り上げが激減した件も同じ現象だと言える。現在の消費者は自分が得するかだけでなく他者に貢献出来るかどうかも購入の判断材料として考えているわけだ。
将来不安過ぎるのが根本的な原因?
credit: spinster cardigan via FindCC
バブル崩壊前と後で大きく人々の意識が変化したことに「将来の展望」が上げられる。バブル期に生まれたばかりの私には当時の人が将来どう考えていたかなんてわかりかねるけど、少なくともリストラされたり給料カットに不安を抱く人はほとんどいなかったんじゃないかと思う。
しかし平成不況に入り、大手メーカーは大量リストラや給料カット、中小企業は相次いで倒産。自分が勤める会社がいつそうなるとも限らず、現代人のほとんどが少なからず将来に不安を抱いている。
年金がもらえるか以前に生まれていくる子どもの学費、養育費、定年を迎える両親、一度考え出せばお金のいることばかりである。
そりゃあ財布の紐も硬くなるよね。お金を使うことに対してとても慎重になる。キレイなお姉さんにまた会えるかも^^という理由で簡単に生命保険を決める人は少なくなったはずだ。
一般的な小売店やサービス業の消費者のメインは一部の富裕層ではなく大多数の中流層以下の家庭である。それらの多くは将来の不安は常に感じていて無駄な商品は買わない。
モノが売れにくいのは当然のことだよね。
どうすれば売れるか
モノが売れない時代にどうすれば売れるか、どうやって売っていくかはどの企業でも悩んでいる場面だと思うし私にもわからんよ。
ただ一つ言えることは、「必要としている人に売ることが大事」。と私は思う。それが表面的なニーズなのか潜在的なのかってのも大事だけど。
営業職ってのはこれを無視した売り方をすることが多いんだよね。特にコピー機とかネット回線とか単一商材を売っている人は自分の扱う商品がそれしかないのでそれを必要としてない人に売り込もうとすることが多い。
少し営業力があれば必要としてない人に売り込んで「欲しいなあ」と思わすことは出来る。欲しいと思ったモノを買っていた昭和後期まではそれでよかったのかもしれない。
しかし現代は「欲しい」だけでは絶対買わない。少なくとも必要性やその商品を買うことによって得られるその他(他者貢献等)付加価値が必要になってくる。それらを提案することによって初めて検討する余地が生まれるわけ。あなたの決断によって社内の従業員の皆さんが大変喜ばれるかと・・・ってね。
そりゃあ営業難しいわけだよ。
だったら始めから必要としている人に対して売ればいいんじゃねえの?
ってのが私の結論かな。
今はインターネットっていう便利なモノがあって遠方からも簡単にアクセスすることが出来る。遠くの求めている人を探して繋げることが容易になったわけだ。
それにITの進化によって必要性があるかどうかデータを取ることが出来る。googleやyahooのリスティング広告等を利用すればその分野に消費者がどれだけ関心があるか等を調べることが出来る。
「これから絶対必要になる時代が来るから!」と言ってどうなるかもわからんシュレッダーを売るよりははるかに簡単そうにも見えるよね。
長々と書いてきたけど正直どうすれば売れるなんて誰にもわからんと思う。可能性のある方法を試してみて失敗したら軌道修正してまた実践しての繰り返ししかないだろうね。物を売るって奥が深いっす。
すぐに実践できてどうこうってわけじゃないけど参考になった本。
まあただの趣味の領域だよこんなもんはw