高校に入ってすぐくらいのことだったかかな。
中学からの同級の中にプロミュージシャンを目指すとか言っていた人がいたんですよ。ベース(楽器)で。
彼は見た目も彼の両親もなんとなくそんな感じで、中学の時に別に楽器とかほとんどやってなかったみたいなんですが、なんかセンスが良かったらしくベースの技術はすごかった。
だけどその時はいくら技術があっても「プロとして生活するのはキツイじゃないかな~」と思っていました。
だってよく言うじゃないですか。
いくら上手くても、才能があってもそういう世界ってなんというか、運とか巡り合わせとかないとキツイって。
ボーカルとかだったらあれだけど、ベースですよ?
食い扶持あるのかね~
とまあそこまで深く考えるほどのタイプの人間(私)じゃなかったし、別に失敗しても死ぬことはないだろうから好きなうようにやるべきだろうと心の中で応援してました。12~13年前くらいの話でしょうか。
現在はなんか私でも名前くらいは知っている声優の榊原ゆいさんとツアー周ったり、なんかプロっぽくてかっこいいです。
今は割と食い扶持があるのではないか
ミュージシャンとか漫画家とか、デザイナーとか作家とかってある種特別な才能みたいなのが必要で、さらに数奇な巡り合わせがあってやっとプロになれるような世界で、とても狭き門な感じがしていました。
でも私が二十歳を超えて、確か「ひぐらしのなく頃に」や「東方シリーズ」という作品(元々は趣味で作られた同人作品)に出会ってからくらいの時に考え方がとても変わったんですよね。私の考え方が変わったというよりは社会の動きそのものがきっと変わりつつあったんだと思います。これももう10年近くも前になるのかと思うと感慨深い。
今までゲーム制作とかシナリオとかってゲーム会社という狭き門を潜って、その中でもごく一部の人が有名な作品を手掛けるような世界なわけじゃないですか。
それがなんか公務員の片手間でやってテレビアニメにまでなるって本当にすごいな~と思ったわけですよ。
その「ひぐらし」のBGMを手掛けたdaiさんもこれまで趣味で活動していたものが「ひぐらし」の製作者に一声掛けたことでCDを何枚も売り出すようなことになり、なんというか、高校の時には想像もしなかった仕事があるんだなあと思いました。
榊原ゆいさんにしてもきっと一昔前ならPCゲームの声優やっても、主題歌やっても本当にごく一部の限られた人の耳にしか届かず、ライブツアーなんてやるようなことにはならなかったんじゃないかと思います。
ただ、今はネットが普及してTwitterやyoutube、ニコニコ動画なんかで簡単にいろんな人の耳に届くようになったんですよね。狭いPCゲームの世界以外の人の耳にも届くようになったわけです。
すごく有名な例としては「AIR」の鳥の詩なんかも、本来PCソフトの18禁ゲームなんてかなりマニアックでニッチなジャンルのはずなんだけどニコ動を多少なりとも見ていたら「鳥の詩」を知らない人はいないんじゃないかと思います(いやいるか)。
結局何が言いたいかというと、昔はテレビや雑誌で取り上げられたものだけが売れていたためアーティストとして売れるにはそこで取り上げられなければならなかった。
だけど今はネットで自分で集客することができるようになったのでテレビ出るような有名人にならなくてもファンを獲得できるようになったということです。
代わりにテレビに出てもでかく稼げるようにならなくなってますけどね。だから音楽系の番組もほとんどなくなった。
自分で集客できるなら別にCDなんか売らなくてもいいですよね。
「教える」でも良いですし今は簡単にネットショップも作れるから「売る」でもいい。
人が持っていないスキルがあって、ある程度ファンを作ってしまえば少なくとも自分一人食べていくくらいの収入を作るのはそれほど難しくないと思います。
10年前とは明らかに変わってるよね
少なくとも現代は私が高校のときとはまるで違う世界になっていると思います。
私が初めて携帯電話を持った時は今から約14年ほど前。
当時の携帯電話は二つ折りが主流になったばかりくらいの頃で、おサイフケータイどころかカメラさえも付いていなかった(カメラが付いたのはそこら2~3年後)。
機能としてはメールと電話が基本でiモードというのもあったけど、使い放題じゃなかったしグーグルで検索出来るようなものでもなかったから今となっては何に使っていたのかほとんどおぼていない(それでもiモード使い過ぎで携帯代がすげーことになって親に没収されてるやつとかいたな)。
今みたいにTwitterやfacebookなんてもんはなくてSNSが普及し始めたのは私が高校を卒業した頃くらいからです。今から12年くらい前でしょうか。
国内のSNSで真っ先に普及したのはmixiで基本的に友達紹介制でパソコンからやるのが普通でした。その後携帯でつながるのが主流のモバゲーというのが普及してきてガラケーなんて言葉がなかった時代に二つ折り携帯でiモードに繋げて知らない人と会話をしていました。
当時mixiやモバゲーをSNSと呼ばれるサービスなんてことを知っている人はほとんどいなくて、今でこそLINEやfacebookにいてたりする人たちも当時はSNSを「出会い系サイトだ」とか言ってました。そんな時代ですね。今から10年前って。
そのころから比べて状況は大きく変わってきています。
今の若い学生は家に帰って一日中skypeでおしゃべりしてもお金は掛かりません電気代くらいしか。
youtubeで好きなときに好きな動画が見れるし月額1,000円ほど払えば飽きるほど映画と海外ドラマを観ることが出来ます。
そりゃ学生がテレビ観なくなるのもうなずけますよね。
youtubeがスタートしたのが2005年。当時は画質も荒くて観れたもんじゃなかったけど。
自分たちが高校の頃はだいたい半分くらいの世帯にインターネットがあって、使ってもyahooで調べものしたり買い物をする程度でしたから。
そりゃあ働き方も変わってきますよ。
だけど好きなことをやるだけでは稼げない
だから最近は、
「好きなことで生きていく」
という言葉をいろんなところで耳にするわけですが、自分の好きなことを好きなようにやって生活出来るほど稼げるなら今頃黙って上司に不満を抱きながら仕事をする人なんて日本に存在しないでしょう。
みんなyoutubeにゲーム実況動画上げたり、自分の好きなイラストを描いたり、何書いているのかよくわからないブログ記事を上げたりして生活しているはずです。
しかし現実にはブログやyoutubeで会社員の収入レベルを稼いでいる人はごく一部。
絵を描いたり文章を書いたりして生活をすることはネットが普及する前とは比べものにならないくらいハードルが下がりましたが、それでもみんながみんなそんな生活ができるわけではありません。
そこにはやはり顧客というものが存在して、ちゃんとお金を落としてくれる人がいないと成立しないわけです。
世の中には好きなことをして稼いでいる人はたくさんいます。
だけどそこには必ずその人の懐にお金を落としてくれる人が存在するわけです。
自分の好きなことを好きなようにやってもその「好きなこと」に対してお金を落としてくれる人が一人もいなければ1円も稼ぐことが出来ません。
ゲーム実況がお金になるのはゲーム実況を見る人が集まるからです。家で黙ってゲームしていても1円も得ることはできません。
好きなことをして稼ぐハードルはネットが普及する前から比べたら大きく下がったと思います。
だけど自分の好きなようにやって稼ぐのは現実的ではありません。
お金が必要だったらお金を落としてくれる人に提供できる存在になる必要があります。
お金が必要だったらの話ですけどね。